コラムcolumn

冬の病気と漢方での治療

冬にかかる病気と言えば、風邪、インフルエンザが思いつきます。

何故冬に流行るのかと言えば、乾燥が大きな原因の一つです。

喉の周りは「粘膜」のお蔭で潤いが保たれています。

喉というのは、口から入ってきた食べ物・空気が序盤に通過する所ですから、

外敵がいたら、喉の粘膜がブロック、倒してしてくれています。

この潤いが非常に大事です。これらのウイルスは水・湿気に弱いのです。

しかし、粘膜が乾燥してしまうと、バリアを失った喉にウイルス付着、というわけです。

 

温度・湿度の両方が大事

インフルエンザウイルスは、気温が20℃位の場合、

湿度が35%以下・・・1日経ってもまだ生存

湿度が50%以上・・・約10時間後には、ほぼ全滅

という研究結果が出ています。

では湿度を50%以上にしておけば良いのだな、と思ったらちょっと間違い。

中学校のときに習った「飽和水蒸気量」の問題。

気温が高いと、空気中に沢山の水分を蓄えられます。気温が低いと、逆です。

気温がすごく低いと湿度50%と言っても、すごく乾燥している(水分は少ない)かもしれないわけです。

目安としては気温20%以上、湿度50%台(高すぎるとカビが生えますので)が推奨されています。

まずは予防です。冬は適切な温度と湿度を保つよう心がけてください。

 

漢方での風邪治療

さて、インフルエンザウイルスもそうですが、風邪もほぼウイルス感染が原因です。

そのウイルス自体をやっつける薬があれば楽なのですが、実はそういった薬はありません。

細菌をやっつけてくれるお薬はあっても、ウイルス自体を即効でやっつける薬はありません。

(細菌≠ウイルス)

一般に西洋薬では、風邪が原因の個々の症状を和らげる働きを期待して、お薬を使用しています。

漢方薬では体が本来持つ自然治癒力が活発になるように期待してお薬を使用します。

自然治癒力はわかりやすく言うと「発熱」として発揮されます。

風邪をひくと、熱が出ます。

熱が出るのは体が病原体と戦っているからで、むしろ良いことです。

ちなみに粘り気のある鼻水・痰は細菌や白血球の死骸です。(戦果といえます)

高齢者が風邪で命を落としてしまうことは、発熱する力が弱っている(=戦う力が沸かない)からです。

風邪はひききってしまう(病原体が目一杯に増殖する)と、丈夫な人でも完治までに長い時間がかかります。

出来れば早めに察知して、自然治癒力を高めて早めに治したいです。

 

漢方薬は体質や体格、体力に応じて選び分けします。

体の虚実の判断が必要となります。

・虚実とは・・・簡単に言うと、言葉のイメージ通りです。

虚は無い状態、弱い状態。(皮膚はツヤが無く乾燥している。等)

実は有る状態、強い状態。(皮膚にはツヤ・光沢がある。等)

自分に合う漢方薬を携帯して、「風邪かな?」と思った時に服用するのが、

風邪をこじらせない最善の方法です。

 

寒いとすぐに風邪をひく人

毎年、冬になると風邪をひき、治りにくい、という人がいます。

「冷え」を伴う症状を訴えるケースが多く、そういった方は「衛気虚」と診断します。

「衛」とは、「防衛」、地球の周りを回っている「衛星」という言葉でわかるように、

「守る」という意味があります。「衛気」は体を外敵から守ろうとするパワーです。

衛気は食事の栄養から生み出されます。

口から摂った食事は「脾胃」で消化され、肺に送られます。

日頃から脾胃を健やかに保ち、しっかり栄養を摂ることも重要です。

 

衛気を五臓で言いますと「肺」が関係します。

「肺」の「宣散」という機能は「気・血・水」を体の上方、体表に送り届ける役割を果たしています。

これが上手く行かないと、お肌はカサカサ、手足は冷える、といったことになります。

このように「肺」から体の表面に運ばれる「衛気」が不足している状態、それを「衛気虚」と言います。

「衛気」によって、体は、外気温が下がっても自分の力で温めようとしてくれたり、

多少の外敵なら跳ね返してくれる力がありますが、

その「衛気」が弱っていると、防ぐ力がなく、外邪(がいじゃ)に良いようにやられてしまいます。

漢方薬でエネルギーを補ってあげたり、血の巡りを良くしてあげたりして、

「衛気」をしっかりと作れる体にしてあげることが重要です。

 

まずは予防が第一ですが、

ひいてしまったら早く自然治癒力を高め、負けない体を作ってあげることが重要です。

「今年は風邪ひきたくない!」という方は、ぜひ一度当店にご相談下さい。

 

薬 安全堂 登録販売者:藤田

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